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年金だけでも楽しく暮らしたい~シニアLife

すこし昔の暮らしに憧れて~手作りに目覚めた年金生活者のブログです。

浮穴みみ「俳人・諸九の恋~夢行脚」

図書館から何気なく借りてきた浮穴みみさんの「夢行脚」、とても面白かったです。
名前が間違っていたのに気が付きませんでした。(2026年1月8日訂正)


浮穴みみ「俳人・諸九の恋~夢行脚」_c0006745_16040111.jpg

この作家さんの作品は初めて読んだのですが、旭川市生まれの札幌在住の方です。
それだけに余計親近感も抱いてしまいました。


江戸時代の女俳諧使「諸九」は、名はなみといって庄屋の家に生まれ、縁続きの庄屋の家に嫁ぎ、
夫は少し年上で、何となく実家の父に似ていて、口数の少ない物静かな人でした。

夫の両親は幼いころ亡くなっていたので、遠縁の女性が後見人として二人の娘と共に暮らしていました
が、嫁いだばかりの頃は、なみはこの家で幸せに暮らせると信じて疑いもしませんでした。

しかし、10年経っても子供が授からず、後見人が取り仕切る家に居心地の悪い気持ちを抱くように
なり、床に伏せることが多くなっていました。

そんなある日のこと、村役人の妻のえんが様子をみに立ち寄ってくれました。
彼女は、なみに一緒に俳諧の句会に出てみないか?と誘ってくれて、一人での参加は心細かったら
ご夫婦ご一緒に~と再度強く勧められて、なみの心は動きました。

夫に相談すると、やはり俳諧などに興味は示さず、なみは粘って粘って説得して、やっとれんと
一緒なら句会にでてもよいという許可をもらうのでした。

なみは裁縫をするより書物に親しむ方が好きで、古典にも通じていました。

初めて師匠となる有井湖白と出会った時、たまたま二人だけの初対面にかかわらず話が弾みました。
それは、彼女が古典に通じていて、「百人一首」や「古今集」が俳諧の下地にあるからでした。

湖白という人は、旅の俳諧師で医術も心得る人物でしたが、元は将来を嘱望された武家でした。
結核にかかり、一時は死さえ考えたのですが、絶望から病と戦って俳諧師の道を選んだのです。

芭蕉の弟子の志田野波(しだやば)が逗留していた丈日堂は、野波の死後「芭蕉」の門下でも
ある持ち主の塩足市山が守っていたのですが、筑後から俳諧の火を絶やしてはならぬ、という
強い思いから湖白を新しい師匠として迎えたのです。

やがて庄屋の妻であるなみと湖白が心の中でひかれあう姿は、はためにもわかるようになります。
ある心無い女俳諧師の軽い冗談のつもりが、村中の噂になり、なみの夫の耳に入ります。

夫から激しく叱責され、手を挙げられ、なみは「何もない」と詫びるのでしたが、心の中は冷え冷え
として、一層湖白にひかれていく自分の気持ちに動揺しながらも家を出ようと決心したのです。

やがて二人は夫婦になり、俳諧師として大阪を拠点として活躍するようになるのですが、なみの家族
の犠牲を思うと彼女は苦しむのですが、俳諧師として生きる決意は揺らぎませんでした。

江戸時代では「不義」はご法度、庄屋である夫も実家も信用失い、兄弟姉妹にも迷惑が及びます。
でも、俳諧の門下生は身内同然と言って密かに二人に手を差し伸べる人々が多かったようです。

こうして、湖白は「浮風」、なみも「諸九」と号を変え、「芭蕉・野波」の俳諧の流れを後世に
繋げようと身を削るように俳諧に命をかけたのです。


文章が優しく美しく、いきいきとして読みやすいです。
江戸時代に、この様に自分の意志を貫いた女性がいたことも驚きですが、やがて年月を経て、
なみの家族がいい方向に収まっていたことに、自分のことのように嬉しく思いました。

「夢見るも仕事のうちや春の雨」という一句が好きです。
彼女は子供の頃から、ぼんやりと物思いにふける一瞬があり、周りから注意されることも
多くあったようです。

小説を読むというより、俳句の技巧ではなく、心得を教えられるようでした。

Commented by tokohouse at 2025-12-06 20:38
こんばんは

mizukiさんが解説すると、私 訳も分からないのに、情景を想像してしまいます。
沢山読んでおられるからか、的を得ていますね、、
私も読みたくなりました、、きっと、まだまだ分からない事ばっかり、俳諧もさっぱり分からんの私

母は百人一首を誦じたり、お習字も好きで、ずっと書いていました。
そんなに上手じゃないですが(笑)
最近亡くなる前の書き初めが出て来て、断捨離は出来ませんよね。

mizukiさんに教えて頂いて今海霧を読んでいます、、
分からない漢字は飛ばすだけではダメだと思って、スマホカメラを使って、、
でも次に同じ漢字が出て来ると、また忘れていて〜〜メモする様になりました。
今は上の北洋商会の所読んでいます。
凄く遅くて、ノロノロ、行きつ戻りつですが、、朝起きるとあれからどうなったのっかなぁ〜と気になって、、
ありがとうね、、読む楽しみまでは行きませんが、こんな日々もあって良いかと
Commented by miqu_7cd at 2025-12-07 06:59
> tokohouseさん
なのはなさん、おはようございます。
コメント有り難う。

海霧、読んでいるんですね。嬉しい!
私は原田康子さんが好きで、彼女のルーツを描いていると
聞いて~興味半分で買ったのです。
(その頃、モニターや懸賞サイトで図書券をもらうことが多かったの

江戸時代まで俳句のことを俳諧と言っていて、連歌の初句をいって
いたそうです。といっても難しくて正確に説明出来ないけど。
正岡子規は、芭蕉の俳句をくさしていたそうだけど、正岡子規
から俳句というようになったのと違ったかな?

私は松尾芭蕉が好きなんです。
忍者だったという話もあるでしょう?
そんな部分に興味をもって。

お母さん素敵ですね。
百人一首は、私は少ししか知らなくて。
家庭のなかでしたことないし、教科書に載っていた知識ぐらい。
乱読で系統的に勉強した訳でないから、無知なところがあります。


by miqu_7cd | 2025-12-06 07:21 | 俳句 | Comments(2)
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